2019.10.25. 「九条科学者の会」事務局長声明

あいちトリエンナーレの中断および文化庁の補助金撤回について


 あいちトリエンナーレの展示「表現の不自由展」について、それに反対する声におされ、いったんは展示が中断されたこと、ならびに、展示が再開されたににもかかわらず、文化庁がいったんはきめた補助金の支出を撤回したことについては、以下の憲法上の問題がある。

 1、今回の展示内容は、植民地支配・侵略戦争のなかで日本がおかした犯罪を批判する表現がふくまれていた。しかし、日本が従軍慰安婦や強制連行など非人道的かつ国際法違反の行為をおかしたことは歴史的事実である。そのような的事実を真摯にうけとめることこそ、植民地支配や侵略戦争に対する反省に立脚した日本国憲法がもとめるものであろう。

 2、文化庁はいったん支出をきめた補助金を、採択の審査をした有識者会議の再検討や、あいちトリエンナーレ当事者の弁明など手続を経ず、また撤回の根拠規定もないまま、一方的に撤回した。これは、行政機関に求めらる適正手続主義にのっとったものとはいいがたい。このように恣意的な手法による補助金撤回が慣例化すれば、さまざまな文化活動は閉塞させられるであろう。

 3、再開された「表現の不自由展」会場において、再開に反対する名古屋市長が座り込みで抗議をし、展示を妨害しようとした。このことは、憲法上の人権(展示をする自由、展示を見る権利)を害するという点で、行政機関の長としてあるまじき行為である。また公務員の憲法尊重擁護義務にも反する行為として批判される。

以上

2019年10月25日
「九条の会」のアピールを広げる科学者・研究者の会(九条科学者の会)
事務局長 永山茂樹