九条科学者の会15周年のつどい「日本国憲法が求めるグローバル化」報告


日時 2020年3月14日(土)14:30~17:00
会場 中央大学理工学部(後楽園キャンパス)5号館5235教室
主催 九条科学者の会・日本科学者会議 共催

標記講演会が九条科学者の会とJSAの共催で、3月14日(土)に中央大学後楽園キャンパスで開催された。折しも、新型コロナウィルスの感染防止のため集会等への参加を控える動きや、雪交じりの悪天候など悪条件が重なったが、40名余の参加者があった。予定していた1つの講演がキャンセルされため、九条科学者の会共同代表の志田陽子さん(武蔵野美大)が「公的芸術支援と表現の自由」と題した第1報告、続いて、事務局長の永山茂樹さん(東海大学)が「自衛隊の中東派遣と会見状況」と題した第2報告を行った。続いて、清末愛砂さん(室蘭工業大学)が「西アジアでの経験から考える平和的生存権の意義」と題した講演を行った。
 第1報告(志田)では、「愛知トリエンナーレ」への補助金を文化庁が不交付にした問題について、一旦交付を決定した催しに対して補助金を不交付にすることは検閲にあたり、憲法および文化芸術基本法に照らして、表現の自由を侵害するものであることを明らかにした。
 第2報告(永山)では、今回の自衛隊の中東派遣の真の目的はアメリカ主導の有志連合への実質的参加であり,自衛隊が得た情報を多国籍軍と共有することであることを示し,この対米従属姿勢と対抗するためには,安保法が制定された2015年9月以前の「イラン核合意」が行われた時点に政治を戻すことであるとした.
 第3講演は,清末さんがガザ地区とヨルダン川西岸地区に数度にわたり訪問し,“出張アトリエ”などの活動をおこなった経験を基にした内容であった.“平和”とは何か?それは極めて具体的なものであり,食事をしたり,絵を描いたり,楽器を弾くことである,という信念から,彼女が原告の一人となっている「安保違憲訴訟」を闘っていることが述べられた.札幌高裁での彼女の原告陳述の一節が印象深い,“圧倒的想像力の欠如が,人々の殺傷につながる防衛力の名の下で進められる軍備または安保関連法にみられるような海外での武力行使を可能とする法制度の整備を容認する土台を形成してきた”.ガザ地区や,アフガニスタンで頻繁に行われている空爆による“命の脆さ”を思い図らないことは“グローバルな棄民化”である.中村哲さんの暗殺に対して,憲法九条は結局彼を守れなかったではないか,という言説は完全に誤っており,九条があったからこそ彼は30年間ペシャワールで活動することができ,とてつもない干拓工事をやり遂げたのだ,など,聴講者を鷲掴する内容であった.

 (小金澤剛一・『日本科学者会議東京支部つうしん』(2020年4月発行)より転載)