2017年秋の講演会「日本の政治はどこへ向かうか」を開催


日時 2017年11月25日(土)13:30~17:00
会場 中央大学理工学部(後楽園キャンパス)5号館5136教室
主催 九条科学者の会/共催 日本科学者会議

九条科学者の会と日本科学者会議は、1125日、中央大学理工学部キャンパス(東京都文京区)において、「日本の政治はどこへ向かうか」をテーマとして、安倍政権の狙う改憲問題の現状を考える「2017年秋の講演会」を共催しました。「家族:開かれた憲法論に向けて―個人・尊厳・平等」と題して志田陽子さん(武蔵野美術大学教授・九条科学者の会共同代表)が、「日本政治と改憲問題の現状」と題して渡辺治さん(一橋大学名誉教授・九条科学者の会共同代表)が講演しました。科学者や市民ら約100名が参加し、聴講しました。

 まず最初に講演を行った志田さんは、両性の平等と家族生活における個人の尊厳を保障した憲法第24条の積極的意義について報告しました。憲法第24条の中核部分は、「過去の家父長制的な家制度から各人、とりわけ女性を解放することにある、と強調しました。このような観点から見ると、自民党の2012年の改憲草案は「個人の尊厳より家族の義務が優先されていて、条文の意味が全く変わる」と批判しました。現政権の下で、家庭教育支援法案、親子断絶防止法案(離婚家庭の面会などに関するルール)、内閣府の進める婚活支援策など、家族のあり方に関わる法律案や施策の具体化の動きが高まっている危険性を指摘しました。

 続いて講演を行った渡辺さんは、まず、衆議院解散・総選挙で安倍首相が進めようとしている改憲をめぐる情勢がどう変わったかについて述べました。改憲を阻止しようとする市民と野党の共闘分断を狙うため、安倍首相は解散・総選挙に打って出ました。渡辺さんによると、この策動は、衆議院における改憲勢力が増えたという意味において半分成功でした。しかし、「希望の党が失速し、立憲民主党が躍進した、という意味においては、安倍首相の賭けは失敗だった」と強調します。立憲民主党を誕生させ、野党第一党に押し上げたのは、これまでの市民と野党の共闘があってこその成果であり、安倍首相にとっては誤算だったと指摘しました。安倍首相が憲法9条に自衛隊保持の項目を書き込む「9条加憲」の危険性について「9条2項の死文化、戦争法により海外での武力行使を認められた自衛隊の合憲化につながる。さらに、日本とアジアの平和にも有害な役割を果たす」と警鐘を鳴らしました。安倍改憲阻止のためのしっかりとした土台をつくるため、「九条の会」とともに3000万人署名を推進することを呼びかけ、講演を締めくくりました。