『九条の会』のアピールを広げる科学者・研究者の会
2014年 秋 の講演会
テーマ「安倍政権と集団的自衛権・改憲の行方」



日時  2014年10月4日(土)  開場13:00 開会13:30
会場  日本大学神田校舎歯学部第2号館第1講堂

 九条科学者の会(「九条の会」アピールを広げる科学者・研究者の会)秋の講演会「安倍政権と集団的自衛権・会見の行方」が、10月4日に日本大学歯学部2号館第1講堂で、116名の参加により開催されました。
 はじめに、本田浩邦事務局長が開会の挨拶を述べ、続いて東京新聞論説兼編集委員の半田滋氏が「集団的自衛権と自衛隊」について講演されました。最初に、安倍首相が集団的自衛権の行使の必要性を主張する時に使う米艦で運ばれる日本人母子の絵を示し、日本人の米艦による輸送はアメリカに断られており、そんな母子は存在しないのであり、あり得ないことをあるように見せる安倍首相のやり方はきわめて悪質であると糾弾しました。高遠菜穂子さんはイラクで拉致された経験をもとに、「自衛隊が来たら私たちは殺されていたし、自衛官にも被害者が出る。必要なのは交渉力であって軍隊ではない」と話した。安倍首相は「他国を守るために日本が戦争に巻き込まれるという誤解がある」と言うが、北朝鮮は日本を攻撃できるミサイルを持っており、自衛隊もF2やF-15J、F-18DJなどのジェット戦闘機、オスプレイを搭載できる「いずも」や「ひゅうが」という護衛艦をもっている。2012年7月に自民党は「国家安全保障基本法案」を作成しており、ここに自民党の基本政策が示されている。どのような自衛隊にするのか、国民は注視しなければならない、と話されました。
 休憩の後、質疑があり、尖閣諸島での集団的自衛権行使については、尖閣諸島はわが国固有の領土なので、個別的自衛権の行使の対象である。ガイドラインの改定に閣議決定をどう文章に入れるかが問題となっているが、来年4月以降の法改正の前までには行われる。昨年の秘密保護法強行採決以来メディアが分裂しており、正しいことを正しいと言えない雰囲気がある。東京新聞は頑張っているので応援してほしい。イラク派遣の時には防衛大学校の卒業生の退学、任官拒否、任官後の早期退職が相当数増えている、などの回答がありました。
 休憩後、一橋大学名誉教授の渡辺治氏が「安倍政権はなぜ集団的自衛権行使・改憲に執念をもやすのか?われわれはそれをいかに阻むか?」について講演されました。安倍政権は、2つの顔を持っている。一つはアメリカと財界が待望した顔で、いままで出来なかった自衛隊の海外武力行使とグローバル企業のための新自由主義的政策である。もう一つはアメリカと財界が嫌がる顔で、靖国神社参拝、慰安婦問題の否認、河野談話・村山談話の見直しである。なぜなら、安倍政権はアメリカ・財界の要請を越える野望、すなわち中国と対峙するアジアの大国への志向を持っているからである。安倍政権にはこの両面があり、股裂きになる可能性もあるが、今年4月の日米首脳会談でオバマも財界も安倍でなければ集団的自衛権も、消費税増税も、TPPも、原発再稼働もできないと判断し、安倍を支持するようになり、その点で安倍政権はきわめて危険な政権となった。安倍政権は、九条の会運動の発展を見て明文改憲を先送りし、解釈改憲により閣議で集団的自衛権行使容認を決定した。また、秘密保護法反対運動の高揚を見て、限定行使容認論を出した。限定論は集団的自衛権には変わりないという面と、今後の法案審議での追及に生かせる面がある。集団的自衛権の行使は閣議決定だけではできず、自衛隊法、周辺事態法、武力攻撃事態法、PKO協力法などの改訂が必要で、これらに対し、違憲訴訟を含む闘いを始めよう。安倍政権と闘うには、消費税増税反対、原発再稼働反対、TPP反対、医療・介護・社会保障をも守るなどの様々な運動と共同した闘いが大切で、地域の運動の力量、保守の危惧と離反、市民運動の力、女性の力、中・高年・若者の力を結集する必要がある、と述べました。

 休憩の後、質問への回答があり、軍事大国化のたまに産学・軍学共同が進められていること、国民意識を変えるため教育改革、教科書統制が起きていること、かつての破防法に学んで、秘密保護法を適用させない運動を進めること、イラク派兵違憲訴訟のような法案改定に対して違憲訴訟を起こすことが必要であると話しました。
 その後、片平洌彦共同代表が挨拶され、九条科学者の会の10年間の活動を振り返り、共同代表を浦田一郎氏に交代することが提案され、拍手で承認されました。最後に、新共同代表の浦田氏が挨拶され、九条科学者の会をさらに発展させようと訴えると、参加者のから大きな拍手が起こり、盛会のうちに閉会となりました。

                         

(九条科学者の会事務局 後藤仁敏/JSA神奈川支部通信Vol.49,No.11より転載)