九条科学者の会は、3月8日、獨協大学教授で憲法学研究の右崎正博氏、『週刊金曜日』発行人の北村肇氏を講師に発足九周年の記念講演会を行いました。会場の明治大学リバティタワー10階の1103教室がほぼ満席となる
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名の参加で
熱気あふれる会となりました。
まず右崎氏は、「安倍政権の改憲構想とその戦略」と題して講演し、実質的な改憲へ向かう安倍政権の現状を分析しました。安倍政権の手法は私的諮問機関や閣議での議論を積み重ねて違憲的法律を作り上げようとするものだが、その最終的な狙いは「明文改憲」にあると指摘し、「安倍政権の一連の安全保障政策は、憲法の基本原理とますます乖離し、矛盾を深め、そのつじつま合わせのために結局は憲法を変えざるをえなくなる」と述べました。その上で右崎氏は、自民党の「改憲草案」が国民を再び「臣民」の地域に後退させるものであり、「緊急事態条項」の行き着く先が「戦争をする国」と「徴兵制」であると述べました。
北村氏は、安倍氏の「壊憲」や歴史歪曲に対してマスコミがほおかむりして追及しない問題を取り上げ、こうしたマスコミの支えにもかかわらず、安倍政権は長続きしないであろうと指摘し、その理由として、消費増税と株安でアベノミクスが崩壊しつつあり、その歴史修正主義によってアメリカの支持を失いつつあることをあげました。また「考えない国民」を作るための教育制度改革、近隣諸国に対する拝外主義のみならず、エスニック以外のマイノリティに対する差別や軍事力の讃美を系統的に推し進めようとしている実態を明らかにしました。さらに、1月の安倍首相の施政方針演説を逐条的に読み解き、オリンピック、震災復興政策、原発政策、社会保障政策などの矛盾を明らかにし、最後にポスト安倍の見通しにもふれました。
参加者からは、「右崎先生のとても丁寧な現状分析と北村さんの胸のすくようなお話という組み合わせがよかった」「安倍政権のねらいやマスコミの現状がよく分かり勉強になった」といった感想が寄せられました。
九条科学者の会は、今後、4
月にも出される安保法制懇報告書とその後予定されている集団的自衛権容認の閣議決定のスケジュールを重視して取り組みを強めたいと考えています。
(九条科学者の会事務局長 本田浩邦)