10月23日、九条科学者の会2011交流集会が開催され、明治大リバティホールに約60名が参加しました。
オープニングアクトとして、シンガーソングライターの館野公一さんが「原発を歌う」と題して「見えない光の矢」「じゃぱゆきくんの冒険」など3曲を歌い会場を沸かせました。
メインの対論「大いに語る 沖縄・日米安保・憲法」では、前宜野湾市長の伊波洋一さん、憲法学者の小沢隆一さんが登場。司会の平野健さん(前事務局長)による現在の安保問題をめぐる政治の現状の説明を受けて2時間以上にわたる対論が行われました。
伊波さんは、「沖縄県政も県内移設容認から県外移設に変わった。日本政府は沖縄に残る部隊を説明することができないため、グアム移転の詳細を国民に説明していない」「アメリカ議会ではグアム移転予算が削減され、辺野古移設も消える可能性がある。そのような中で、野田政権に対しては辺野古移設実現の目途を示せと詰め寄っている」と現状を説明しました。
さらに中国脅威論について、伊波さんは、「1997年に「新ガイドライン」(日米防衛協力の指針)が打ち出された際には、中台間の緊張が高まっていたときで、その後2008年に台湾の中国からの独立の動きが交代してからは経済的に日米中一体が進んでいる。沖縄の役割はそれと連動して変化してきている」と説明しました。
小沢さんは、もともと一枚岩ではない民主党が憲法九条をどのように受け止めているかについて述べ、とくに「会見に対して無関心」である層の存在を指摘し、「能動的な平和創造国家」と称して日本の防衛産業を世界的な軍事産業に育てようとしていると指摘しました。さらに、軍事同盟のないアジアをどのように展望するかという問題に関連して、「駐留米軍=抑止力」論を考えることが重要であるとし、「抑止」の意味を「懲罰的抑止」と「拒否的抑止」とを分けて考えると、「『防衛白書』など政府の説明は懲罰的抑止に偏向しており、実際の紛争の抑止には、憲法九条の存在や経済的・外向的など様々な力が働いているにもかかわらず、軍事力だけで説明しようとしている」と批判しました。
また、東日本大震災後の「トモダチ作戦」をどう見るかという問題について、小沢さんは、米軍は一種の演習のつもりでやっており、そこでえられたノウハウは容易に軍事転用できるものであるとの見方を示しました。
集会は、事務局の活動報告、参加者の経験交流ののちに、アピール「憲法空条の空洞化を食い止め、アジアの安全保障のために科学者・研究者の力の結集を!」を採択し幕を閉じました。今回の交流集会は、当初3月13日に会発足6周年の行事として予定されていましたが、東日本大震災のためにこのたびの開催となったものです。